個性というもの(宮本百合子)

個性というもの(1935年)

あるまじめな女のひとが次のような話をした。

「私は十三四からずっと印刷工場の女工をやったんですが、女工といっても職場で気持がちがいますよ。私たちは、拾うものを片端から自分の生活に関係なく読むもんだから文化的な水準は一等高いけれど、どうしても文学少女みたいになっちゃうんです。それが印刷で働いたものの一番の弱点だと思います。」


私はその話から、有名なフォード自動車工場の有様を思い起した。

印刷工場   いんさつこうじょう…la fabrica de imprenta
女工     じょこう…la obrera
職場     しょくば…el lugar de trabajo
拾う     ひろう…recoger(del suelo)
片端から読む かたはしから(かたっぱしから)よむ…Leer todo el contenido.
文化的な水準 ぶんかてきなすいじゅん…el nivel cultural
一等     いっとう…1er puesto, supremo
文学少女   ぶんがくしょうじょ…las chicas “devora libros”
弱点     じゃくてん…el punto débil
有様     ありさま…la situación (connotación negativa)

 

あそこは能率増進のために極度に分業化され、たとえば鋲をこしらえる部では何年経とうがそれだけやらせられるから、さてクビになると機械工といってもかたわで修繕工にさえなれない。

これは恐しいことであると従業員は訴えているのである。

能率     のうりつ…la eficiencia, la productividad
増進     ぞうしん…el aumento, el incremento
極度     きょくど…algo extremo
分業化    ぶんぎょうか…la separación de trabajo
鋲      びょう…la chincheta, el clavo
クビになる(首になる)…ser despedido de un trabajo
機械工    きかいこう…el mecánico
修繕工    しゅうぜんこう…el reparador
従業員    じゅうぎょういん…los trabajadores
訴える    うったえる…1)poner pleito a uno. denunciar. 社長を訴える
2)quejarse de algo 背中の痛みを訴える
3)manifestarse 憲法改正を訴える

私たちは、自分の性格というものまで、今日の社会機構の不自然な分業と、その全計画に参加し得ない組織によって労力だけをしぼられているうちに、いつとなく細分され、一面化されている。

現在の家庭というものも女にとってこの例外ではない。私たちはそれに対してはたしてどのような憤りを感じているであろうか。
〔一九三五年二月〕

自分         じぶん…uno mismo
性格         せいかく…la personalidad
今日         こんにち…hoy (en) día
社会         しゃかい…la sociedad
機構         きこう…el mecanismo
不自然        ふしぜん…antinatural
分業         ぶんぎょう…separación de trabajo
*全計画に参加し得ない ぜんけいかくにさんかしえない
…como si no estuviera participando en todos los planes
組織         そしき… la organización
労力         ろうりょく…la fuerza de trabajo
絞る         しぼる…estrujar, exprimir
何時となく      いつとなく…sin darnos cuenta el momento que ha pasado
細分         さいぶん…dividir minuciosamente
一面化        いちめんか…simplificado (一面una dimensión 化conversión)
現在         げんざい…el presente
家庭         かてい… el hogar
例外         れいがい…la excepción
憤り         いきどおり…la indignación



*”como si no estuviera participando–” es la manera de expresar en japonés. Al usar la negativa, crea un toque cínico. “Como si estuviera participando” también está bien como traducción final.


あなたの気持ちを言葉にしましょう。

1)文章に習って、”有様(ありさま)” ”何年たとうが” ”いつとなく”これら三つの表現を使った短いフレーズを書きなさい。

1.1)有様

1.2)何年たとうが

1.3)いつとなく

2)「今日の社会構造の不自然な分業」とありますが、筆者には何が不自然なのでしょうか。

3)この文章について、あなたの意見を自由に書いて下さい。